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FIELD MANUAL — 作戦前ブリーフィング

注文住宅の打ち合わせは、
始まる前にだいたい終わっている。

打ち合わせが始まってから考え始めた人は、だいたい詰みます。

どうも、家芸人のうめです。

注文住宅を建てて、5年住みました。
で、住んでから気づいたことが山ほどあるんですが、そのほとんどに共通点がありまして。

「打ち合わせのときに考えていなかった」。これです。

打ち合わせの場で急に聞かれて、その場のノリで決めた。もしくは、営業さんの提案に「それでいいです」と答えた。
そうやって決めたものが、5年後にじわじわ効いてきます。

今回は、自分が実際に後悔したところから逆算して、打ち合わせが始まる前にやっておくことを7つに整理しました。
契約前でも、契約直後でも、間取りが固まる前ならまだ間に合います。

※ 本記事には一部プロモーション(アフィリエイト)リンクを含みます。
※ 筆者は建築士ではなく、注文住宅を建てて住んでいる一施主です。記載は個人の体験と考えであり、仕様・費用はご自身の条件でご確認ください。

なぜ「打ち合わせ前」が勝負なのか

理由は身も蓋もなくて、打ち合わせは、考える場所ではないからです。

実際に始まるとわかりますが、あれは決定の連続です。しかも1回あたりの時間は限られていて、次の打ち合わせまでに決めてきてください、という宿題が毎回出る。
その場で初めて聞いた話を、その場で判断させられる場面が何度もあります。

そして厄介なことに、設計段階でしか変えられないものが、あとから効いてくる系統に集中しているんですよ。
照明、コンセント、配線、窓、動線。どれも住み始めてから「こうすればよかった」と気づくのに、気づいた時点ではもう工事の話になっている。

うちの場合はリビングの照明でした。ダウンライトです。

打ち合わせで営業さんが判で押したように言うんですよ。「スッキリしてオシャレですよ」。
正しい。それは否定しません。でもこれ、完成した瞬間に終わる設備なんです。

器具の交換ができない。調光にも対応していない。うちは明るいか消えてるかの二択です。
スマート化しようとしても自由度が低く、球切れしたら工事。数万円が飛びます。

これを打ち合わせのときに考えていたかというと、まったく考えていませんでした。
「オシャレそうだからそれで」と言った記憶しかない。

だから準備の話をします。打ち合わせで戦うための準備ではなく、打ち合わせに入る前に決着をつけておくための準備です。

STEP 01今の住まいの不満を「動線」で書き出す

まず最初にやるのはこれです。理想の家を考えるより先に、今の家の不満を書き出す。

ただし「収納が少ない」みたいな書き方だと使えません。要望として抽象的すぎて、間取りに反映できないからです。
おすすめは動線で書くやり方です。朝起きてから家を出るまで、帰ってきてから寝るまで、自分が実際に動く順番に沿って、止まる場所・戻る場所・イラッとする場所を書いていく。

  • 洗濯物を干すまでに、何回往復しているか
  • 買い物から帰ってきて、冷蔵庫に着くまで何歩か
  • ゴミ袋を出すまでに、どこで詰まるか
  • 朝、家族と動線がぶつかる場所はどこか

これをやると、要望が「収納が欲しい」から「玄関から冷蔵庫までの間に、荷物を一度置ける場所が欲しい」に変わります。
前者は営業さんに流されますが、後者は間取りに落ちます。

ちなみにうちは極小サイズの家ですが、狭いおかげで全部の荷物に3歩以内で届きます。
広さより配置です。動線が短い家は、それだけで毎日の消耗が減ります。

やること
  • 平日の朝・帰宅後・休日の3パターンで、自分の動きを順番に書き出す
  • 「不満」ではなく「止まる場所」「往復する場所」を探す
  • 家族が2人以上なら、全員分をそれぞれ書く(重なる場所が要注意ポイント)

STEP 02家族それぞれの「絶対に譲れない1つ」を先に決める

これをやっていないと、打ち合わせの場が家族会議になります。

そして打ち合わせ中の家族会議は、だいたいその場の勢いで決着します。
声が大きいほうか、先に折れたほうか、営業さんが推したほうに寄る。冷静な比較にはなりません。

なので事前に、一人1つだけ、絶対に譲れないものを決めておく。1つだけ、というのが大事です。全部大事だと言い出すと優先順位が付かず、結局は予算の都合で削られていきます。

1つに絞っておくと、予算が足りなくなったときの削り方が明確になります。
「ここは削らない、他で調整する」と即答できる状態が、打ち合わせでは一番強いです。

やること
  • 各自「これが叶わないなら建てる意味がない」ものを1つだけ挙げる
  • それぞれの理由を一言で説明できるようにしておく(説明できないものは優先度が低い)
  • 残りの要望は「あったら嬉しい」に分類して、削る順番まで決めておく

STEP 03家具と家電の位置を、間取りより先に置く

ここが一番、後悔に直結します。

間取り図ができると、つい部屋の広さや形を見てしまうんですが、実際に住むときに効いてくるのはそこに何を置いて、どこに立って、どこを見るかです。

そしてコンセントと照明の位置は、家具の位置からしか逆算できません。

家具の配置が決まっていないまま照明の打ち合わせに入ると、どうなるか。
天井に均等に配置されます。何も悪くない、無難な配置です。でも実際に住むと、ソファに座ったときに手元が暗いとか、テレビに映り込むとか、テーブルの真上に照明が無いとか、そういうことが起きます。

コンセントも同じです。ベッドの位置が決まっていないと、枕元にコンセントが無い部屋ができあがります。
延長コードで解決はできますが、それは5年後も10年後も床を這い続けます。

やること
  • 間取り図に、今持っている家具と、買う予定の家具を実寸で書き込む
  • ソファ・ベッド・ダイニングテーブル・テレビ・デスクの位置を先に確定させる
  • その状態で「自分が座る場所」から見た照明とコンセントを確認する
  • 掃除機・空気清浄機・充電器など、床に置くものの居場所も決めておく
補足。照明は「後で変えればいい」と思われがちですが、ダウンライトは器具そのものが天井に埋まっているので、変えるときは電気工事になります。
後から自由にしたいなら、設計の段階でダクトレールにしておく、あるいは調光・調色に対応した器具を選んでおく必要があります。この判断ができるのは打ち合わせのときだけです。

STEP 0410年後の家電のために「逃げ道」だけ作っておく

今スマートホームに興味がなくても、この項目は飛ばさないほうがいいです。

やることは「今すぐ全部スマート化する」ではなく、あとで変えられる余地を残しておくことです。
具体的には、電源とネットワークと、物理的な取り替えやすさの3つ。

  • 電源:将来ここに機器を置くかもしれない、という場所にコンセントを1つ多めに
  • ネットワーク:ルーターの置き場所を決めて、そこに電源とLANを通しておく
  • 取り替えやすさ:埋め込み式より、あとで交換できる形式を選べないか一度考える

スイッチも同じです。うちは物理スイッチをロボットアームで押すデバイスを導入して解決しましたが、あれは「テクノロジーで解決できなければ物理で解決する」という発想の産物であって、最初から選べるならもっと素直な方法があります。

10年後に何が流行っているかは誰にもわかりません。
わからないからこそ、変えられる状態にしておくのが唯一の対策になります。

やること
  • ルーターの定位置を決めて、電源とLAN配線を確保する
  • 玄関・寝室・リビングの「将来何か置きそうな場所」にコンセントを追加する
  • 照明・スイッチ・カーテンについて「あとで交換できるか」を打ち合わせで聞く

STEP 05予算は「本体以外」から積む

見積書に出てくる本体価格は、住める状態の値段ではありません。

ここを最初に理解しておかないと、後半で削る対象が「絶対に譲れない1つ」に回ってきます。
だから予算を考えるときは、本体以外から先に積むほうが安全です。

  • 外構(駐車場・アプローチ・フェンス)
  • カーテン・ブラインド類
  • 照明器具
  • エアコン
  • 家具・家電の買い替え
  • 引っ越し費用
  • 登記・保険・税金などの諸費用
  • 予備費

そのうえで、住宅ローンの話をひとつ。
うちは変動金利を選びました。選んだ時点では合理的な判断でしたが、金利が動くたびに気になります。返済額が増えたときに耐えられるかは、契約前に一度シミュレーションしておいたほうがいいです。

これは損得の話というより、精神衛生の話です。想定していれば動じないので。

やること
  • 本体以外の費用をリストにして、ざっくりでいいので金額を入れる
  • 予備費を必ず1行入れる(打ち合わせ中に必ず何か増えます)
  • 金利が上がった場合の返済額を試算して、家計が耐えられるか確認する

STEP 06間取りを、1社の案だけで判断しない

正直に書きます。自分はこれをやりませんでした。

気に入ったメーカーがあって、そこの提案を見て、良さそうだったので進めました。
結果としてその選択自体は後悔していません。うちはセキスイハイムで、ボックス型の外観も、太陽光も、構造の考え方も気に入っています。

ただ、比べる物差しを持っていなかったのは事実です。

出てきた間取りが良いのか悪いのか、判断する基準が自分の中に無い。
「これでいいと思います」と言うしかない状態でした。あのとき他社の案が手元に1つでもあれば、少なくとも「なぜこの配置なのか」を質問できたはずです。

間取りというのは、同じ土地と同じ要望を渡しても、会社によって出てくる案がまったく違います。
同じ広さで部屋数が変わることもあれば、水回りの位置が丸ごと入れ替わることもある。それを見て初めて、自分が何を優先したいのかがはっきりします。

今から建て直すなら、間違いなく複数社に間取りを作らせてから打ち合わせに入ります。

今から建てるならこうする

複数社の間取りプランを、まとめて取り寄せておく

タウンライフ家づくりは、要望と土地の条件を一度入力すると、対応している住宅会社から間取りプラン・資金計画・土地情報を無料でもらえるサービスです。1社ずつ問い合わせて回る手間が省けます。

  • 複数社の間取りが手元に並ぶので、比較の物差しができる
  • 資金計画も一緒に出るため、本体以外の費用感がつかめる(STEP 05に効きます)
  • 気になる会社だけ、そのまま打ち合わせに進める
間取りプランを無料で取り寄せる
※ プロモーションを含みます。
※ 依頼すると各社から連絡が来ます。複数社に一度に依頼する仕組みなので、連絡先の管理(電話に出られる時間帯、メールの振り分け)を先に決めておくと消耗しません。

注意点も書いておきます。
この手のサービスは営業の連絡が来ることが前提です。それが嫌な人には向きません。連絡が来るのを織り込んだうえで、間取りを手に入れる仕組みだと考えてください。

あと、もらったプランをそのまま採用する必要はまったくないです。
目的は比較の材料を作ることであって、契約先を今すぐ決めることではありません。

STEP 07決まったことを残す仕組みを、先に決めておく

打ち合わせは長期戦です。回数が増えるほど、前に何を決めたか曖昧になります。

「言った」「聞いていない」が発生したとき、記録が無いと弱いです。
悪意の話ではなく、単純に人間の記憶の話で、双方とも本気で覚え違いをします。

だから最初の打ち合わせから、残し方を決めておきます。

やること
  • その場で出てきた図面・カタログは、帰る前にスマホで撮る
  • 決まったことは、当日中に自分の言葉で1行ずつメモにする
  • 重要な確認事項はメールかチャットで送って、文字で返事をもらう
  • 保留になったものは「保留リスト」に入れて、次回の冒頭で必ず確認する

特に保留リストは効きます。打ち合わせで一番危険なのは、決めたことではなく、決まらないまま流れたものなので。

整理します

打ち合わせ前にやることは、この7つです。

  1. 今の住まいの不満を、動線で書き出す
  2. 家族それぞれの「絶対に譲れない1つ」を先に決める
  3. 家具と家電の位置を、間取りより先に置く
  4. 10年後の家電のために、逃げ道だけ作っておく
  5. 予算は「本体以外」から積む
  6. 間取りを、1社の案だけで判断しない
  7. 決まったことを残す仕組みを、先に決めておく

全部に共通しているのは、打ち合わせの場で考えなくて済むようにしておくということです。

打ち合わせは、決める場所ではありません。
決めてきたことを、伝える場所です。

オシャレは住宅完成時に収束しますが、不便は一生続きます。
来世で建てるときは、この7つを全部やってから打ち合わせに行きます。

以上、5年分の居住実験データから導いたやらかし報告でした。

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